臨床検査試薬管理の憂鬱を解決する(2)

前回の続きになります。

試薬管理台帳をペーパレスで簡単に作成する。

このアイディアを実現するために、バーコードで管理するシステムを自作したけど失敗したのが前回です。

バーコードじゃなくて、試薬ラベルには文字が書いてあるから、それを見て管理するシステムを作ればいいと思いつき、それを実現するために、病院を辞めてITベンチャーを立ち上げました。

なんでいきなり辞めるの?などの疑問はもっともですが、人生は向かい風の吹く道こそ進むべき方向だと思うのです。楽ではありませんが、引き換えに大きな成果を得ることができるのではないでしょうか?何かを得たければ、まず何かを失わねばならないのです。

このアイディアは、現場で働くなかから出てきた純粋な現場発です。

実際に現場で働いて欲しいと思ったものは、きっと欲しいと思ってくれる人がいるはず、たとえ少なくても。そしてその役に立ちたい。それが起業の唯一の拠り所でした。もちろん何ら約束されたことはありません。誰も知らないベンチャーなど全く相手にされません。でもやってみる価値があると思ったのです。

試薬にバーコードが貼付されていないボトルも管理したい。つまりバーコードに頼らない仕組みが必要です(バーコードに必要な情報が全て入力されていれば、もちろん優先して使用します)。これには、まず試薬ラベルの文字をシステムが読むことができないと話になりません。そこでまず試したのはOCRです。OCR(Optical Character Recognition)光学文字認識と称される技術です。最近では、小さな卓上スキャナで文書を読み込んでも割と正確に文字を認識してくれます。これは使えるのではないか?試薬ボトルに見立てた容器にプリントしたラベルを貼り付けて、写真に撮ります。

その画像をOCRにかけてみました。

・・・・・認識結果は、というより・・そもそも文字として認識してくれませんでした。この時使用したのは、印刷した文書の「文字おこし」に使用されるOCRだったようで、写真のように何かに文字が書かれているようなケースには対応していないようでした。

ではと、写真を白黒にしてみました。要は文書と同じ条件にしてみたわけです。

・・・・・今度は文字を認識しましたが、全部ではありませんでした。試薬名のような比較的大きな文字は認識していましたが、製造番号や有効期限などは認識できていません。しかも認識した試薬名も、一部認識できていない、または誤って認識しています。

最終ゴールとして設定したことは、

  • 試薬ラベル写真を撮影し入出庫や在庫を管理する。
  • システムが写真を分析し、できるだけ人は何もしなくても良い。
  • 試薬名と製造番号、有効期限を自動で確定できる。
  • 操作者の情報と実施日時を上記情報と併せてデータベースに記録する。
  • 運用は完全ペーパレスでできるようにする(例外は作らない)。
  • 撮影できない試薬があっても、できるだけユーザーの作業を少なくする(撮影の代替手段をつくる)。
  • 撮影場所を限定しない(どこででも撮影可能に。リーダー接続のPCがなくてもできる)。
  • 台帳(pdf出力)できるようにする。

ざっくり言えば以上です。他に必要なことがあれば機能を追加すれば良いと考えていたのですが、そもそも基本の文字を人のように読んで記録を残す、このキーコンセプトが実現できなければ話になりません。

その後、色々なOCRソフトを試してみました。さすがに商用で実績のあるものやクラウド上で処理するソフトは優秀で、試験的に作成したラベルの文字を読むことができました。ただし問題がありました。読み取った結果は文字でしかかえってこず、どこに書かれていたかの「位置情報」が無かったのです。これでは製造番号が何で有効期限がいつまでなのか、それを表現する文字列がどれなのかを知ることができません。

さすがに一番優秀なソフトは、それも一部実現していましたが完璧ではなく、私たちのニーズを満たしていませんでした。

仕方がない、別の方法を探そう。インターネットでヒントになるものを探しては試し、発表されている論文を読んでは試す日々がはじまりました。

To be continued………..

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